スピーカーシステムの3大要素
スタジオ用・PA用を問わず、スピーカーシステムを構築する上でこの3つの要素は音に大きくかかわってきます
1・スピーカーユニットの性能
世界中には星の数ほどユニットメーカーがあります。
私の修行時代はJBLやアルテックぐらいしか使えるユニットメーカーは無かったのですが、今はヨーロッパにも上質なユニットを生産している
会社が沢山あります。
当工房では数あるユニットの中から性能と価格を精査し、『お値段以上』の価値があるスピーカーユニットをご提案いたします。
2・エンクロージャーの材質
中国出向していた時のエピソードです。
開発の業務の中で、ユニットの試作品は良いものが出来上がってきます。
エンクロージャーに取り付けて測定すると周波数特性は要求を満たしたデータになってます。
しかし、音源を入れて試聴してみると中低音にハリ・ツヤみたいなモノが足りない。低域も共振が抑えきれていない印象。
クロスオーバーネットワークの値や部品の交換、補強材の追加、吸音材の入れ替え等やってみても劇的には向上しない。
たまたま開発スタジオに置いてあったヨーロッパのメーカーのエンクロージャーに入れ替えて試聴したところ
何の問題も無かった如く想定以上の気持ちの良い音で鳴り始めました。
メーカーのHPを調べてみると『White birch plywood』(ホワイトバーチ合板)と記載されていました。
当時の広東省の工場では、中国北部の白樺風で硬くて積層パンクの多い合板しか入手できないとの事でした。
ホワイトバーチ
一般的にエンクロージャー用にはアピトン合板・ベイマツ合板・MDF等と言われていますが、ホワイトバーチが輸入される前の情報も混じっての評価と思われます。
現時点ではホワイトバーチがスピーカーエンクロージャーの素材としては最適・最高と判断しています。
国内で流通している3種類のホワイトバーチの中から実際にエンクロージャーに組んでテストを重ね、理想的な合板を採用しています。
ホワイトバーチ&重量木質系樹脂
さらに弊社では、ホワイトバーチ単一の素材で構成するよりも重量木質系樹脂と組み合わせたハイブリット化したエンクロージャの方が低音感や響きに有効であることを発見し、更に研究して製品化しています。
3・適切なチューニング
バスレフポートのチューニング
エンクロージャー方式にユニットの個性が表現しやすく、オペレーターが現場で調整し易い『バスレフタイプ』を採用しています。
このバスレフポートのチューニングが低すぎると『こもってヌケのない低音』
逆に高すぎると、ボンボンとアタック感はあるけれど『芯があって空気を揺らす心地好い低音』にはなりません。
クロスオーバーチューニング
フラットな周波数特性を目指しながらもユニットの個性を活かしきる構成。
エンクロージャの形状
箱の形によって低域から中低音の能率が変化し、出音の印象に影響します。
最適な形状のエンクロージャーを作り出します。
吸音材
吸音材については素材と質量によって音色が変化します。
安価なのですがガラス繊維はパサパサした手触りと同じく出音もパサパサします。ポリ繊維は無難な音ですが面白い音でもありません。
当工房では若干コストはかかりますが、『しっとりとしているけど、力強く鳴りきってくれる』バーチ合板に最適な
吸音材を採用しています。
注:一部の製品には指定により『ポリ繊維』を使用しています
その他
持ち手ハンドル・コロガシとして使うときの傾斜角度・配線し易いスピコン位置など、現場での使い勝手の良さにもこだわっています。
販売方法
一部の製品を除いて直接のお取引をお願いしています。
一般的には『メーカー』『代理店』『販売会社』『お客様』が商品とお金の流れですよね。
工場出荷価格の何倍の金額でユーザー様のお手元に届くのでしょうか?
もちろんこのスタイルの流通がないと国としての経済は成り立ちません。
ですが、弊社では『当工房』から直接『お客様』とすることで『安くて良い機材』をお使いいただく
事を軸として考えています。
不都合や新たな機材開発のご要望にもお答えできる体制にしたいと願っています。