個人での「ラインアレイ」を持つ夢が、手の届く価格で実現。開発者と直接繋がることができるのも魅力ですね。
ビッグバンド
ジャズ・ビッグバンドの現場を月に数本回すフリーランスPAエンジニアであり、音楽大学の教員としてPAと録音の講師も務める富正和さんは、マールスピーカーに惚れ込みメイン機材を全面移行しました。冨さんは、その理由として、フリーランスとしての資金状況や現場の詳細を語ってくれました。
導入者プロフィール
氏名: 富正和氏(音響 M-AQUA 代表)/神奈川県横浜市
キャリア: NHKに12年間在籍したのち、2003年に退職してフリーランスのPAエンジニアとして独立。業界経験20年以上。2012年より洗足学園音楽大学でPA・レコーディングの講義も担当。
活動スタイル: ミュージシャンや一般顧客からの直接依頼が中心。月8本程度の現場を、自前の機材と車両により1〜3名の少人数で回す。会場PAと録音を同時に行い、ミックスして納品するまでを一貫して請け負う。
現場の内訳: 8割がジャズ(うちビッグバンドが3〜4割)、2割がクラシック・吹奏楽・レコーディング関連。都内が8割、神奈川・栃木・茨城が2割。300〜500人規模の小ホールが中心で、時折800〜1,000人弱の会場でも運用。
所有されている主なマール製品

メインのスタック(MJ10〈TOP〉+MJB118〈SUB〉)。台車に載せたまま展開でき、上段は後から角度を追い込める
大きな会場になるほど、音響費用の大部分がレンタル費として消えてしまう。
NHKを辞めてフリーランスになったのが2003年です。独立した当初にまず驚いたのは、個人ではプロ用のスピーカーの価格を知ることができないということでした。個人事業主は、ビジネスの相手として扱ってもらえない。相手によって価格が変わり、継続的な仕事の保証もないので、大手のPA会社と同様な音響を提供するのは本当に難しかったです。
もうひとつの問題はレンタル費でした。500人を超える規模の現場ではラインアレイや大規模なメインスピーカーが必要になりますが、自前では持てないので外部からレンタルする。すると、せっかくいただいたギャラのほぼすべてがレンタル費用に消えていくんです。フリーランスの収益構造として、これは限界がありました。
機材は独立初期にエレクトロボイスのパッシブを長く使い、その後ヤマハのパワードに移行して2023年頃までメインにしていました。既存メーカーで気がかりだったのは保守です。故障時のパーツ入手、特に同軸スピーカーの修理対応には、広域だけの交換が可能なのかなど、ずっと不安がありましたね。
マールスピーカーについては結構昔から知っていて、代表のブログをずっと追いかけていました。中国での開発の様子、ユニットの選定から木材の加工まで一貫して自分で手がけている過程が、長年にわたって全部公開されていたんです。
コロナ終息後あたりから、実際に使っているユーザーからの評判を聞くようになり、特に「20WS」モニターに対する評価が決め手になりました。公開されているスペックの数値に誇張がなく、工学的にもとても信頼できる。だから私は、実物の音を聴かずに、スペックと価格、そしてブログや実際に話して知ったマールさんの人柄への信頼だけで購入を決めました。
個人でも所有できるラインアレイを持って、より大きな現場に自分の機材で出ていきたい。それは独立してからの長年の願望でした。自分の財布から出す投資として、これなら成立すると判断できたんです。やっぱり驚いたのは価格ですね。家具レベルの価格でラインアレイが手に入る。「本当かよ」と思いつつ買いましたが、正解でした。
1年半、使い込んでわかったこと。
MJ10+MJB118 ―― 個人で持てる、実戦級のラインアレイ。
私の現場でいちばん過酷なのは、20人編成のビッグバンドです。各楽器にマイクを立てて、PAと録音を同時に行います。そこでマールのスピーカーは「音が飛ぶ、ガッツがある」という安心感がありますね。周波数に変なピークがなく歪みが少ないので、音量を上げてもやかましくならないんです。

コンサートホールでの仕込み(MJ10+MJB118)。ステージ上にスタックを組んで運用する
私はもともと、やや丸目の柔らかい音を好む傾向があります。硬い音作りが得意ではない。マールのチューニング特性はそれをちょうど相殺してくれて、トータルでは良いバランスに仕上がります。1年半使って、この効果を実感しています。
上向き、下向きのどちらでも仮置きできる自由度があって、現場に即しています。ゴム足を付けない設計も、フロア直置きでの低域カップリングを優先した音質本位の考え方だと理解しています。
マールのエンクロージャーは、振動特性の異なるバーチ材と、重質量の木質系合板を組み合わせたハイブリッド構造です。ここまで音の響きにこだわった箱が、家具のような価格で手に入る。これは正直、ほかではなかなかないことだと思います。
比較で言えば、同価格帯に競合になる製品がそもそも存在しないと思います。小規模現場の標準とされてきた某アメリカ製の大手ブランドの製品と比べても、角度調整ができるという点を含め、実効性能は同等か上だと思います。 現場で使っていると「これがマールですか。初めて見た」と言われることも多いですが、音を出せば周囲は納得します。価格の安さで不安を持たれたことは一度もありませんね。今では関東にいる音響仲間から、マールのスピーカーを指名されて使うこともあります。

ウェッジモニターとして「MJW12」
マールは、アフターケアに関して、「不具合時はユニットごと交換する」という考え方をとっていますね。大手のように細かいパーツ単位の供給ではありませんが、待ち時間や手配の煩雑さを考えれば、これは合理的で、私は納得しています。
カスタマイズの柔軟さも、個人で機材を持つ人間にはありがたい点です。サブウーファーのサイズ変更の相談にも応じてもらっています。私は機材用のワンボックス車の寸法を考慮しながら機種の検討をしていますが、内寸の関係でMJB118サブウーファーは、旧機種を導入しました。開発者と直接やり取りできるからこそのスピード感ある対応だと思っています。

神社の屋外イベントでのスタック運用(MJ10+MJB118)
これから機材を選ぶ、フリーランスの方へ。
何よりマールというブランドにおいて、私が最も重要視したいのは「開発者と直接やり取りできること」ですね。スペックの詳細なデータ、価格、カスタマイズ、保守、すべてがそこで納得できて、とても安心感がありますね。
いろいろな現場でマールスピーカーの名前が通るようになってきた印象はある一方で、実際に導入している人はまだ少ない、というのが私の肌感覚です。フリーランスの音響仲間からスピーカーの相談をされることも多いです。ただ展示会で実施される型通りのデモは、周囲にいる他人の意見に流されやすいので、私はこれまで1、2回しか参加していません。自分の財布でスピーカーを買うのであれば、一度デモ機を借りて、しっかりご自分の現場で鳴らしてみて音を聴いてみると納得感がある。そのうえで開発者のマールさんに直接いろいろ尋ねてみて決めるのが良いと思います。マールさんはとても丁寧に対応してくださいますよ。

公園の野外ステージでの現場(MJ10+MJB118)。自前の機材と車両で小〜中規模のステージを回す。
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MJ10 ラインアレイシステム TOP
連ねて、小規模から大規模会場まで。
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